久保大

先ほど私は、公表されている統計データを引用して、少年犯罪の増加等の主張に否定的な説明を試みてまいりました。そして、それにもかかわらず、少年犯罪が改善されていると主張しようというのではないのだというふうにも述べました。 実は、私には、同じデータを使って、例えば平成十四年ごろまでというように都合よく期間を区切って引用することにより、全く反対に、増加しているという説明を加えることも可能だったわけです。 つまり、私が犯罪統計を読み進むうちに気づいたことは、この統計自体から一定の結論を導き出すことは危ういことであるが、反対に、ある結論を導き出すために自説に都合よく統計データを引用することは大変簡単だということでした。